プノンペン〜コンポンチュナン (約100km)
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コンポンチュナンまではおよそ100キロ。メシ食って10時にプノンペン出発。道を間違えて30分ほどワケのわからない村々をウロウロしてから、国道5号線に出る。ちなみに日本橋ことスピアンチョロイチョンワーを渡らず、売春街で有名なスワイパーへ行く道が5号線である。スワイパーまでは20分弱。道は良いが交通量が多く、かつ女を買うんで興奮して運転の荒いバカも多くてちょっと怖い。 スワイパーを抜けると、田舎からモグリで木材を運んでくる巨大トレーラーが車線を大幅にオーバーしながら寄ってくる。こいつらは正面きってプノンペンには入れないので、ここの近くの裏道に入ってどこかに消えてしまうのだが、でかいだけに恐ろしい。 スワイパーからウドンまでは車の数も減って、道もキレイで言うことないのだが、2箇所だけ、突然月のクレーターみたいな大穴のあいているところがあるので注意。もし気が着かないと死ぬかもしれないくらいデカいです。早くなおして下さい。 どうでもいいが日本のウドンの語源とされているウドンの町に近づく。ここまではプノンペンから白い路線バス(運転は凶暴)がガンガン来ているので、2〜3回ぐらいはすれ違うと思う。ウドンの町はかなり大きくて道も広くてアレだが、過ぎるとあっという間になにもなくなる。 このへんから、プノンペン-バッタンバン経由の乗合いタクシーたちが、狂ったようにスピードをあげてくる。追い越されるとき、ピーピークラクションを鳴らしてくれる奴はまだいいが、無言でいきなり真横から追い越されるときは生きた心地がしない。いま乗ってるバイクは買ったときからやたらうるさいマフラーがついているので、エンジンかけてるとき、周りの音はほぼなにも聞こえない。とても怖いです。 余談だけど、普通の腐った中古カムリに追い抜かれるのはまだ、自尊心がちょっと崩れるぐらいで済むんだけど、新車のランクルとかに煽られるとコワイです。ちなみにカンボジアでこの手の車に乗ってるのは、ほぼ全員特権階級なので、殺されたくなかったらランクルとかレクサスとかベンツには道をゆずりましょう。 ウドンを過ぎると道はだんだんツギハギになってくる。でもまだ舗装されてるだけ大したもの。おまけにダラダラと一本道が続くだけで、曲がる箇所もほとんどないので眠くなってくるんだけど、ときどき道に穴があるので眠ってる場合ではない。 そう、道にあいた穴もコワイけど、それよりも一億倍コワイのが、いきなり予告なしに道を横切る様々な小動物たち。これは本当にコワイ。犬、ニワトリ、人間のガキ‥‥今回もまた、もうすこしで子犬を挽き肉にしてしまう場面もありました。 だがしかし、道をよこぎるもののなかで一番の恐怖は、やはりなんといっても牛。本当にこのルートには、放し飼いの牛がたくさんいて、皆アタマが悪いのでガシガシ道のどまん中を歩いてくる。ときどき、急ブレーキをかけたらしきタイヤの跡が道に残っているところがあるんだけど、こういうものが残っている近辺はとくに注意。なるべく道の真ん中を走るように心がけよう。 牛は本当にアタマが弱いので、こちらがブーブークラクション鳴らそうがなにしようが道を横断しかけたら、もう牛飼いにも誰にも止められない。おまけにコンポンチュナンは陶芸の町で、ここで作られたプノンペン向けのせとものは、皆この道を牛車を使って運んでくるというわけで、この牛車にも充分注意したい。 そんでもって、運悪くパンクしてしまったとしよう。ひととおり自分で修理できればいいが、僕は例によって工具もなにも持参しない主義というか、持参しても直せない人なので、そういう場合はパンク修理屋に持ち込むことになる。 田舎とはいえ、ほとんどの移動手段は車なので、パンクの修理屋は道沿いにいくらでも見つけられる。たまーにちゃんとした絵つきのブリキ看板を掲げている店もあるが、田舎の場合ほとんどは、木の枝にタイヤがひとつひっかかっているのが目印。修理代はだいたい50円から100円くらいの間。だと思う。 もうひとつ、ガソリンスタンドのことも書いておこう。スワイパーまではまともなスタンドが営業しているが、スワイパーを越えるとウドンとコンポンチュナンまでスタンドは無い。ちなみにウドンとコンポンチュナンにあるスタンドは、レギュラーのみでスーパーは置いてない。 そこで登場するのが、田舎おなじみの路肩スタンド。道ばたに清涼飲料水のペットボトルがいくつか置いてあったら、それが簡易スタンドの目印。 売っているのはスタンドで買ってきたガソリンに、色々と水増ししたかなり粗悪な品質のもので、リッター1500〜1700リエルと安いが、お世辞にもお勧めすることなどできない。だが背に腹はかえられない。 こういった簡易スタンドは一見すると無人にみえる一本道の真ん中とか、しょぼい村々にも必ずどこにでもあるので、とりあえず入れる勇気さえあれば、カンボジアでガス欠の心配は皆無といえよう。本当に便利便利‥‥。 簡易ガソリン屋の近くには、休憩場をかねた雑貨屋も見つけることができる。売っているものはインスタントラーメンやコーラ・ビール・水などの飲み物に限られるが、まあ田舎だから仕方ない。インスタントラーメンは頼めばその場で作ってくれるし、ビールやコーラには危険な味のする氷をタップリ入れてくれる。腹具合が心配な人は、入れないでもらったほうが身のためである。 カンボジア中部には、少数民族のチャム族を中心に、イスラム教徒が多い。そのためワケのわからないジャングルの中にまでモスクがあるほどで、したがって国道5号線の沿道にも数多くのモスクをみつけることができる。モスクのそばにいる人々は、クメール人というより、どちらかと言うと中近東にいそうな雰囲気の人が多く、皆目が厳しくてちょっとこわい‥‥ので人物の写真は撮れなかった。 コンポントム〜シェムリアップほどではないが、このルートにも若干のコワイ橋がある。なにがコワイかというと、車の轍の部分だけに板がわたしてあり、その板もちょっとぶっ壊れかけていて、四本足の車ならともかく、バイクで板切れの上を渡るのはやっぱりコワイ。写真のように平坦なところにある橋ならともかく、上り坂からいきなり現れる橋などもあって、これなどはスピードを上げすぎて止まりきれないこともあり、二度ほど死にそうになった。標識ぐらいつけてください。 橋と牛さえなければ、あとは道もまあまあいいし、車も少なくて(日曜日だったからかもしれないが)スピードをガンガン上げられる。コンポンチュナンに近づくと、徐々にバイクで行き交う人が増え始めるのでわかるはず。 ただ、コンポンチュナンはなかなか大きな町ながら、やはりカンボジアの地方都市の常であまりパッとしない。緑が極端に多いシーンと静まりかえった町という感じで、中心にそびえるプノンペンの戦勝記念塔そっくり(ひと周り小さいが)の塔以外は、とくに見るところもない。 本当なら、プノンペンとシェムリアップを結ぶ高速ボートが着く船着き場なども行ってみたかったのだが、川がどこにあるのか最後までわからなかった。町の中はけっこう道がウネウネあちこちで交差していて迷路みたいな雰囲気。 実はこのとき、結構激しい腹痛で、一刻も早くプノンペンに戻りたい気持ちいっぱいだったので、せっかくここまで2時間近くかけて辿りついたにも関わらず、ロクに景色も見ないで10分経たずにコンポンチュナンを後にするのだった。 おまけ‥‥帰りがけ、ウドンの近くで「川口昌弘小学校」という謎の建築物を発見。壁には今田勇子みたいな筆跡で「夢と希望を持て‥‥川口昌弘」とか書いてあってゾゾーッときました。なんなんだよこれ。 |