プノンペン〜カンポット (約200km)
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今回はうちの近所に住む鈴木さんと二人で、カンポットまででかけることにした。鈴木さんは最近あまり調子の良くないXLR-BAJAに乗っている。この日はカンボジアで一番高い山という噂のキリロム山に行く予定だったが、前日の夜、ビールを飲みながら海みたいねえ。という話になって急遽予定変更。カンポットへ向かうことになった。 朝10時プノンペン出発。カンポットまではプノンペンから約200キロ。有名なビーチのあるコンポンソムにお株を奪われてしまった、あまりパッとしない町である。ポチェントン空港の先をまっすぐ進むと、コンポンソム方面へ向う国道4号線と、カンポット方面の国道3号線に道がわかれる。コンポンソム方面への道が素晴らしく広くてキズひとつ無いのに比べ、国道3号線はいきなり埃まみれでデコボコで気が重い。おまけに道幅がやたら狭く、前方から大型トレーラーが砂埃をあげて迫ってくると身の危険すら感じるほどだ。 ところが20分ほど走ると急に道幅が広くなり、道路の状態がやたらと良くなった。オオ!これはついてるな。と思いきや、また元の状態に逆戻り。ポツポツとしか点在してなかった木がいきなり増えてきて、しばらくすると、アッという間に周りはジャングルのようになってしまった。 が、このあたりの沿道に背の高い木が密集していたおかげで、一番暑い時間帯に直射日光をあまり浴びずに済んだのは助かった。そのうち、前方に踏切が見えてきた。いままでカンボジアで見た線路は、ほとんどが廃線になった路線の残骸ばかりだったが、一応、カンポットまでは二日に一回鉄道が走っているので、この線路はちゃんと使われているものらしい。それにしても煤けている。 危惧していた長距離タクシー(後ろから狂ったように煽られる)もあまり見あたらず、交通量も思ったよりかなり少なかったため、密林の道をゆったり走ることができる。だが、油断してスピード上げたままボーッとしていると、それを待っていたかのように、犬や豚や猫や牛が前方に出現するほか、フラフラ走っていた地元民の自転車やカブが、いきなり手前から後方確認もしないでUターンかけてきたりして、心臓が止まりそうになることもしばしば。ちなみに道の状態だが、このへんはほとんど穴が無いので(修理の跡はあるが)そこいらへんは有り難い。 そのうち、タケオ方面への分岐点となる町に到着。ガソリンは出かける前に入れたばかりなので、大きなスタンドに少しそそられたが、入れないでそのまま通りすぎる。するとまたジャングルがはじまり、このへんで少し尻が痛くなってきたので休憩することにして、道沿いで店を広げていた簡易喫茶店(?)に立ち寄る。カンボジアではこうした路肩の店をあちこちでみかけるが、どこもかしこも本当に商売として成り立っているのか?と危惧してしまうほど、客がいるのをあまり見かけたことがない。だが、田舎ではこれでも現金収入のあるエリート職なのかな。などと勝手に想像しながらセブンアップを飲む。1500リエル。ここまででおよそ1時間ちょっと。まだまだ先は長いような気がする。 セブンアップをチビチビ飲んでいると、さっそくヒマそうな村人たちが集まってきた。田舎でこの手のバイクに乗っていると、まずどこでもいい見せ物になってしまう。15分あまりの休憩で、集まってきた連中は10名以上。なかにはいい歳した大人の男も混じっていて、仕事はちゃんとしているのだろうかと余計な心配をしてしまう。鈴木さんは小便したかったらしいが、この状態では格好のアトラクションにされてしまうので、先に出発して人気のないところで済ますと言い残し、走り去っていった。 そんでもって、休憩してから30分ほどでタケオ州とカンポット州の州境に到着。ここいらへんから遠くに山が見えはじめたり、道沿いにも緑が増えるなど、プノンペン周辺の殺伐とした雰囲気から、景色にはっきりとした変化が感じられる。と同時に、道がいきなりガコガコ、ボコボコになりはじめ、タケオ州では立派だった橋も、はっきり見劣りする木製のものにかわり、そのうえ穴があちこちに開いていたりして恐ろしい。どうでもいいけど、CPPの看板ってどこにでもありますね。 ここから先、道は良くなったり悪くなったり変化が激しくなり、さらに牛車やローカルのバイク貨車の量も増えて走りにくくなる。ひどいところでは10センチ以上もある深い穴がボコボコ開いているところもあって、調子に乗って何度かバランスを崩しそうになった。走った経験から言うと、小さい穴が5箇所以上連続して開いていたら、それから数キロ先まで同じような状態が続くと思って間違いなく、集落の中の道は特に悪いので、通り抜けるときは気をつけたほうがいいと思う。 遠くに見えはじめた山が間近になり、いくつか丘を越えると再び鉄道の踏切があり、カンポットの町に入る。道が狭かったため怖くてスピードが出せず、2時間の予定が3時間もかかってしまった。 カンポットには、フランス植民地時代の建築物がそのままあちこちに残っていて、なおかつそれらはいまでも現役で使われている。道も広く交通量もあまりないので閑散とした雰囲気だが、埃っぽくなくて落ちついた感じの町並みだ。インフラさえちゃんとしていれば‥‥。 中心部のロータリーで記念撮影したあと、とりあえず昼飯がまだだったので町中をウロウロしてみたが、ちゃんとした店構えのレストランは10軒くらい。どこもあまり客が入っておらず、うまいかまずいかの想像はつけがたい。仕方ないのでロータリー際の店に入り、エビスープと豚肉の炒めものとビールを頼むが、値段を聞くと若干高く感じる(言い値は1皿5000リエル)。そのうえ味のほうもなんだかどうでもいい感じだったので、ガックリきて勘定すると、注文する前は1皿5000リエルだった料理が、いつの間にか6000リエルになっている。もちろん文句を言って計算させ直したが、それでもいくらかはボラれているのだろう。なんだかとっても後味の悪い店だった。 ここまで折角きたのだから、海だけは見てみたいと思いきや、どこに行ったら海が見れるのか全くわからない。地元の人に聞いてみるが、クメール語で海という単語を知らぬばかりに質問することができず、「水の沢山ある場所だよ!」と言ったら、トイレに案内されてヘロヘロ。疲れたのでそのまま帰ることにした。なんだかなあ。ちなみにプノンペン到着は夕方5時。カンポット滞在時間はわずか1時間。本当にメシ食って帰ってきただけだったなあ。 |