プノンペン深夜三時



 強盗や凶悪警官より危険なビバ軍団にご用心!
‥‥そんな注意報が在留邦人の間に流布されたのは記憶に新しい。昨年のクーデター後から主に携帯電話のひったくりを繰り返す三人乗りのバイクが市内に出没。実際に何件もの被害が報告された。

 ビバ軍団とは、機動力のある新型バイク(SUZUKI VIVA)を操るチンピラ少年たちの総称だ。取り締まりの結果、ビバ軍団の横暴は減少傾向にあるが、いまも深夜になると、その残影をかいま見ることができる。

 コンビニ付設のGSが彼らの根城になっていて、特に週末の夜など、十数台のバイクが集結することもある。

 「集会」後、彼らは暴走を始めるが、悲しいかなプノンペンには246も湾岸高速もなく、フンセン公園の周辺をチョコチョコ走るのが関の山。しかも宝物のバイクが傷むので未舗装道路には侵入しない。

 自国インフラの乏しさを最も痛感しているのは、ひ弱な暴走族に成り下がっている彼らなのかもしれない。(アリムラヨシヒロ・放送作家)



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