われらNGO



社会人対象日本語教室

 早朝六時、日の出とともに私たちの教室は始まり、真っ赤な夕日とともに終わります。

これは、プノンペン大学外国語センターが、社会人を対象に昨年12月から始めた日本語教室で、三年前よりNGOの霊友会国際支援機構が開設したものを、引き継いで有料化したものです。

 現在は初級と中級の二コースあり、社会人のニーズにあわせ、朝は6時、昼は11時半、夕方は5時から授業がはじまります。18歳以上なら誰でも入学でき、学費は月14ドルと少々高めですが、読む書く話す聞くの四技能はもちろん、日本人と接する上でのマナーなど、半年で基礎的なことはしっかり学べます。初級終了時に大学認定の修了書が貰えることも魅力です。

 カンボジアで日本語を話す人材は、大変少ないと言わざるを得ません。ポルポト政権以前は盛んに勉強されていたようですが、学生のほとんどは死んでしまいました。

 難民キャンプで一年ほど勉強した人、ウナロム寺の渋井さんが指導した人、日本政府の奨学金で留学したのち帰国した人などが、それぞれ数名いる程度です。

 カンボジアにとって、日本語教育など後々の援助かもしれません。しかし若い世代は日本語を身につけることで将来の選択肢が広がるでしょう。また、この国を多くの日本人観光客が訪れ(この一年はだめですが‥‥)、カンボジアの人々が親日的で日本に関心をもっている現在、一方通行ではない日本語の話し手、両国の架け橋となる人材の育成も必要でしょう。

 日本語は決して難しい言語ではありません。しかし、上手な外国人ほど誤解されることがあります。上手だからつい、それぞれの言葉が持つ含みもわかってくれるだろうと、私たちが考えてしまうからです。言い回しひとつでカンボジア人が誤解されてしまうのは悲しいことです。そこで教室では、同時に礼儀やマナーも厳しく指導しています。

 わたしたち二名の日本語教師は、この一年、JHP学校を作る会(代表・小山内美江子)から、生活面でのサポートを受けることができました。おかげで大学からのお手当てが僅かなものでも、なんとかがんばっています。

 中級クラスの学生を中心に日本の民話を翻訳し、いただいたご寄付をもとに、今年中に出版して小学生に配布する予定です。こうした優秀な翻訳集団をつくるのも私の夢です。かれらが日本語を武器に自分の未来を切り開き、国の発展に貢献する人材になってくれたら、本当にうれしいことです。

(小味かおる)



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